「……だろ?」

遠くで何か、声がした?
俺は瞼を開いて、周りを見渡した。


あれ?

どうして保健室に俺はいるんだろう。


目をこすりながら、意識を少しずつ取り戻していく。


「天野!」

確か、俺は天野の付き添いをしていたのに、天野がいない。
どうしたんだろうか。

もしかして、置いて行かれたのか。
俺は律義に待っていたのにな。


「だらっしゃーっ!」

……いや、天野さんはすぐそこにいるみたいだ。
俺はベットのカーテンを開いた。

するとそこには校長と天野が対峙していた。

ちょ?
なんで?


「だから、言っただろう、そんなのは認めないと」


淡々と校長は言った。


「いいじゃん、ケチ、別に何の費用もかけないし、帰宅部くらい、認めてよ?」


天野は校長に対して完全にタメ口をきいている。
見てるこっちがあわててしまう。
だが、校長はそんなことは気にもとめていないように、眉ひとつ動かさない。


「じゃあ、幹也を巻き込まないでやれよ」

だったら、印鑑くらい、おしてやってもいいと、校長は言った。
幹也って、市原の下の名前だ。

「市原がいないと、俺は、帰宅部なんてやらない」

「は?」


え?
帰宅部って、天野が一人でやりたいだけじゃなかったのか?

どういうこだ…?


「俺は、市原に―――」






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