さすがです!




=乃木side=


「本当に俺は何をしているんだ…」

雨がやんでも俺の心は晴れない。


保健室にあるポットからお湯をくんできて飲んだ。

寒いだろ…保健室のくせに…!


「天野はいいよな、お布団、暖かいだろ」

どうしたもんか、この冷えは。
確かに天気予報で今日は冷えますなんていっていたけど、これは異常だろ。


「…ぅん」

かちこちの手に息を吹きかけた。
さっき暖かいお湯を飲んだのに、なかなか、俺の体は温まる気配がない。



*****


「…!」

何か、急に、俺の上に、かぶさってきた。
俺は驚いて右手をあげた…ら、

「痛ってぇ」

「え?」

思いっきり天野の綺麗な顔を殴ってしまった。
てか、何してんの、天野。


「ごめん、乃木が寒そうだったから、お布団」

しゅんとした顔で天野が言う。

「いや、ま、それはありがたいが、どうして…」

天野も一緒にくるまったままこっちにくるんだよ…
俺はあたふたと言った。
すると、天野はむっとした顔で

「だって、俺も布団ないと寒いもん」

と言う。


顔がまだ半分以上寝ている。
きっと、今、天野はよくわかっていないんだろうな。


「ありがとう」

「うん」

「天野…?」


……勘弁してくれ。

天野、また眠ったよ。
今度は俺にもたれかかったまま。


どうしたらいいんだ。
どうしようもないが。


でも、暖かい。

天野と布団の温もりに包まれて俺は安らかな気持ちになった。


だんだんと…






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