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雨の匂いがした。
ふと窓の外を見つめると雨が降っていた。
最悪、俺は傘を持ってきてない。
「はぁあ」
何をしているんだろうな。
何を真面目にこんな奴の目覚めなんて待っているんだよ。
俺。
別に大丈夫だろ。
寝不足がたたって、こいつは急に眠りこくっただけだろ。
いたって健康じゃないか。
置いて帰れ、俺。
なのに、立てない。
この椅子から俺は立てない。
「馬鹿らし」
俺はベットの上ですやすやと眠り続ける天野を見つめた。
俺もこれくらい、綺麗な顔をしていたら、市原は、俺のこと見てくれたのかな…
よだれを垂らしているくせに、顔が整っているとそれさえも愛おしく見えるのが卑怯だ。
憎たらしい…
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