ああそれでも危険を楽しんでいられるとは
「あれ?」
保健室のベットにねっ転がして、天野の目覚めを待っていたら、どうしてなのか、市原がやってきた。
「どうしたの?」
不思議そうにこっちに市原は向かってくる。
俺はそれを阻止したいと考えたが、阻止をする理由なんて思いつきもしない。
「市原、外で俺と話をしようぜ!」
急に俺のとなりの羽場は立ち上がり、市原の方へと走っていく。
「羽場くん?」
「いいからいいから」
市原の肩に手をまわして、羽場は出口に向かった。
「え? あ、ちょっと」
「じゃあな、乃木ぃ」
「ああ」
扉はぴしゃりとしまった。
「ふぅ…」
俺は眠りこける天野を前に、勝ち誇ったような気持ちになった。
天野と市原を会わせなかった。
よし。
……あれ?
「しまった…」
たとえば、天野に市原を会わせないとしても、羽場とは二人っきりじゃんか、今。
俺って本当は頭悪いのか…
恋をすると馬鹿になると言うのは本当みたいだ。
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