寝不足なあなたは次の一歩を誤った




「さぁて気を取り直して…さく、せん…っ」

「おい、天野!」

急に倒れこんだ天野に、俺は駆け寄った。
完全に天野には意識がない。

こういうときはどうしたらいいのだろう。

俺は柄にもなく混乱して、羽場に電話をかけた。


『はぁいよ!』

「あ、羽場、天野が意識飛ばして倒れた」

『え?』

「だから、天野が…意識失ってさ」

『乃木、今、行くわ!』

「え、羽場?」

今行くって、どこに。
俺は切れた携帯電話を見つめた。

だって、羽場は知らないはずだぞ、俺が天野と相談室にいるとか…


知らないはず…


なのに、すぐに「お待たせ!」と羽場が現れた。
勢いよく開かれた扉が悲鳴を上げていた。


「羽場…」

「なぁに?」

「どうしてここが?」

「そんなことは後で、とにかく、天野を保健室に連れて行こう」

テキパキと羽場は天野を担ごうとした。
が、無理だろ。

「天野は俺が持つ」

羽場じゃ、身長が足りなくて、背負えないだろう。

悔しそうに俺を睨んだ羽場が可愛い。
やっぱり羽場はそうでないと。

「ありがとう、羽場が来てくれたから、落ち着いた」

「…ぇ?」

「なんでもない」

「そっか…」

「ほら、行くぞ?」

「ちょっと、乃木ぃ」

置いていかないでよーと、羽場は俺の隣に並ぶ。

なんだろう、暖かいな、今日は昼から冷えるとか天気予報はいっていたが。

ま、はずれることもあるんだろうな。


羽場はどこか寒そうにしていたけど。






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