まずは誰かが踏み出さないといけない
=乃木side=
放課後になって天野が俺を呼び出した。
羽場に聞いたらどうやら、羽場は呼ばれていないみたいだった。
真城にもそっと聞いてみたが、首を傾げられた。
つまり俺だけを呼んだってこと。
天野は何を考えて俺だけを呼んだんだろう。
市原のことか…?
*****
「あ、わりぃ」
相談室の扉をあけると天野が嬉しそうに俺の方へと駆けよって来る。
市原はいない。
植木先生もいない。
「俺、お前に言いたいことがあったんだ」
「は?」
急にしおらしく、俺を見つめる天野に疑問符が上がる。
そして「羽場とか来てない?」と確認をしてくるのに、なんだか、変な気分になる。
なんなんだよ、この、空気は!
「言いたいことがあるならさっさと言え」
ついに沈黙に耐えられなくなった俺は天野にそう言った。
すると天野は「ああ」と頷いた。
「付き合ってほしいんだ、俺と」
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