=羽場side=


気に食わないけど、邪魔をする気にもなれない俺ってどうなの。
本当に馬鹿ばかしい。

あんな奴のどこがいいのか、さっぱりだ。

市原はどうしてあんな奇怪な奴のこと…
天野なんて、さ、ただ顔がいいだけで、何もないじゃん。

さっきの授業だって急に、立ちあがって、
一人言を叫ぶし…


「はああぁ!」

何をくよくよしてんだ。俺。
元気が売りの俺だろうよ!
元気出せ、ほら、元気出すんだ。

「のわ〜っ!」

「羽場、うるさい」

「え、乃木ぃ」

俺は仲間だと思った。
きっと乃木だって、さっきの二人を見ていて、辛かったよな。
そうだよな。
うん。

「……羽場、一緒にすんな」

「え?」

「俺は落ち込んでなんかいない。お前と一緒にしないでくれ」


格好いい。
ちょっと、それ格好いい。
俺と大違いだ。

すっげぇー


「そうだよな、落ち込むようなことじゃないよな!」

それさえも受け流すくらいの余裕を持つべきだったんだ俺は。
そうだ。

「羽場、俺は…」

「二人で何の話をしているの?」

「「真城!?」」

俺たちは急に俺たちの間に入ってきた、普通男子を見つめた。

「「どうして、真城、俺たちに…」」

乃木と言葉が被った。
俺はあわてて声を殺した。
すると、乃木も何も言わなくなった。
じゃあ、と、俺は口を開いた。

「「…話しかけて」」

「すっごい、かぶってる」

真城は笑った。


俺たちはなんか居心地が悪かった。

だけど、
暖かい気持ちがここにはあふれていた。






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