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まぁ、気分を何かしら害させてしまったようだし、しかたないか。
誠意をこめて謝りに行こう。
俺はやれやれと席を立つと、職員室に向かおうとした。
すると、市原とばったりと、扉の前で鉢合わせになった。
「天野くん、言いにくいけど…授業はちゃんとしておいたほうが…」
「え? なんで?」
「理由は特にないけど…」
「じゃあ、いいじゃん別にさ」
俺はにっこりと笑った。
すると市原は「そうなんだけど…」とうつむいて、
「でも、天野くん、せっかく、頭いいのに、あんな風にしていたら先生に誤解されてしまう…から」
「いいよ、そんなの。別に期待とかしてないし」
「…なんだ!」
「え?」
「僕が、嫌なんだ、天野くんのこと、誤解されたくない…」
ごめん、こんな、勝手なことを言って…と市原は泣き出しそうな顔をした。
不謹慎にも、俺は嬉しかった。
「わかった…ごめん。謝ってくる」
これからはちゃんと授業を受けます。
だから、市原に笑顔をあげられる男にしてください。
神さま。
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