…本当はわかっていて




お昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った。

俺たちは緊急会議を終えて、午後の授業に向かう。

五時限目はなんの授業だったかなんてよくわからない。
ただ、人生のなんの役にも立たなさそうなもので、

六時限目もまたそんな感じで…


俺の学校生活の一日は終わった。


「天野くん」

帰宅部の話し合いってまだするの? と市原は聞いてきた。

俺は「また今度にする」と答えた。


だってさ、市原の父さんが校長なんだ。
もっとなんかさ、秘策を考えないと。
俺がリーダーだし、俺がちゃんと考えて、みんなに提案して、
そこから、はじまるんだろう…

「俺、頑張るよ!」

「うん、でも無理しないで…」

「どうしたんだよ、市原、そんな悲しいそうな顔して」

「え?」

そうかなって、市原は嘘笑いをした。
本当は知っていた。

五時限目が終わると、クラスメイトに呼び出されて、告白されたんだろ。
しかも、男に。

君は断ったみたいだけど、深くそのことについて考えているみたい。

憎たらしいと思ったよ。


告白した奴。
市原を困らして何がしたかったんだよ。



「天野くん?」

「ああ、大丈夫だから」

心配そうに俺の方を見つめる市原に、俺は少しそっけない返事をした。


市原は悪くないとわかってても、どうしてか、市原を責めたい気持ちになった。


どうしてだよ、この感情!






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