個人の自由です
「そう、翼の気持ちはよくわかったわ。でもね、翼」
「母さん、これは俺の自由じゃないか」
とめないでくれって俺は言った。
すると母さんは真剣な顔をして「今も大切だけど、先のことも考えてよ…進学するにしたって、就職するにしたって、変な噂つけないほうがいいもの」と言う。
俺はもう一度、個人の自由だと言った。
母さんは笑って溜息を洩らす。
「反対はしてないんだけど…」
そう言って、キッチンへと歩きながら「こんばんは何が食べたい?」なんて聞いてくる。
ああ、俺…
「母さんが、俺の母さんでよかったよ」
「馬鹿言うんじゃないの!」
「えー」
そして、二人して笑った。
笑ったけど、すぐに母さんは真剣な顔をした。
「けど、ね」
「?」
「無理はしないでね」
「ああ、大丈夫!」
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