3
「好きって、何?」
キョンは呟くように口にした。
俺はもう、本当に何も考えられなくなっていたのかもしれない。
君の顎に手をかけて、持ち上げる。
「え? 何?」
瞬きするキョンに、俺は顔を近づけて、
そのまま、キスした。
このまま時が止まってしまえばいいのに。
だけど、キョンは「やめろ」と俺を突き放した。
そこで、やっと正気に戻った。
俺は何をしていたのだろうか?
いつもみたく笑って見せて「冗談」だと口にした。
辛かった。
俺のこの気持ちを冗談にするなんて、辛かった。
なのに、どうしてだろうか?
今度はキョンの方から、俺にキスしてきた。
ぎこちなさが可愛くてしかたなくて、俺はついつい、本気になって
しまっていた。
[*前] | [次#]
目次に戻る→