「何、固まってんだよ?」

俺はそう言いながら、キョンの方へと歩いて行った。

キョンは後ずさるが、じきに屋上の手すりに行き詰まることにはわかっていた。


「谷口?」

キョンは俺の名前を呼ぶ。
だけど「気安く呼ぶなよ!」としか言えない。
俺は、もう、どうにか、なって、しまいそうだった。


「ごめ…」

キョンはしょんぼりとした顔をした。

「勘違い、させんな」

「え?」


そんな目で見るなよ。
本気で勘違いしてしまうだろう。


「好きだ…」

「え?」

「これ以上、俺を勘違いさせないでくれ」


「谷口?」


「好きだ…」


「え?」


「キョン」

目の前まで、キョンの近くに寄り、俺は
ただ見つめていた。





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