俺だけが悩んでるみたいで
俺だけが悩んでるみたいで、なら、知らない顔をしようと思ったんだ。
俺が何もないふりしていたら、こんなにも平穏でいられるんだと。
そうやって、ずっとやってきたんだ。
だから、俺は涙をふくと、いつも通り、登校を試みる。
だが、教室につくと、目をはらしたキョンがいた。
何があったのか、どうしたのか、
俺は心配になった。
どうしたんだと聞いてみれば、何でもないと言われた。
「何でもないって、んな、わけないだろ!?」
俺はキョンの肩をつかむと真剣に聞いた。
「悩みでもあんなら、聞くから」
「いや、だから、本当に何でもないんだ」
キョンは目をそらした。
今にも泣き出しそうな顔をして。
「な、わけないだろ、こんなに」
「放せっ」
無意識に触れようとしていた手を払いのけられて、俺は固まった。
走り去っていくキョンを呆然と見つめながら、俺は歯がゆさを感じた。
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