5
「どうしてって、好きになったからですよ」
さらりとそう言い笑った真島に、
俺はもう何と言ってやればいいのか、
わからなかった。
沈黙が降り立った。
休み時間はもう少しすれば、終わる。
「あ、いきなり、こんなこと言われても困りますよね」
真島は急に引き気味に笑う。
「決して困らせたいわけじゃないんです」
と言った。
だけど、
俺は一つの大きな疑問にようやく到達した。
「あのさ、真島」
「はい?」
無邪気に真島は俺を見つめた。
俺はそんな真島を見つめた。
真剣だった。
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