ハッキリ言うと好きってことです。
=小池side=
もう、わからん。
悩むことに疲れた。
だけど、あいつら真剣だったんだもんな。
軽い気持ちでいたらダメだ。
ちゃんと誠意を持って話さないと。
「よしっ」
思い立ったらすぐ行動だ。
俺は今がちょうど3時の休憩だということを確かめ、歩き出す。
とりあえずは神崎から。
そう思い、廊下へ出ようとしたら、
「お時間、いいですか?」
と、丹羽が話かけてきた。
「え、あ、構わないが…」
「では、禁煙室に行きましょう?」
「……ぇ?」
なんで? とは聞けなかった。
ただ、昨日のことを思い出してしまっただけで。
また、だ、なんて想像してしまっただけで。
「期待してますか?」
「え?」
俺は耳元で囁かれて、どうにかなりそうだった。
腰が疼いた。
「………小池部長。少し、急いで下さい。時間が」
「あ、悪い」
なんだろう。この気持ちは。
俺は丹羽の後ろを歩きながら、考えた。
「……神崎?」
禁煙室につくと、神崎が煙草を加えていた。
「遅い。待ちくたびれた。丹羽。お前、とろいんじゃないの?」
「すみません。声かけるの、戸惑っちゃって…」
なんで、二人が話しているんだろう。
俺は首を傾げた。
「……小池部長。あの、お昼はすみませんでした」
丹羽が頭を下げた。
「俺も、悪ふざけが過ぎた」
神崎も頭を下げた。
「え、えと…なんで?」
俺は二人に謝られる意味がわからず、焦る。
「だから、小池がマジになるから、からかってしまったんだよ。俺は」
神崎は、悪かったね、と顔をしかめた。
「……俺も、すみませんでした」
「丹羽…」
「取り返しのつかないことだと思います。ですが、俺、また、前みたいに、部長には笑いかけてもらいたいんです」
幼い顔。
丹羽の泣き出しそうな声に俺は、
「いいんだよ」
と答えた。
「俺も本気にして悪かった。このとおり」
俺は二人に頭を下げた。
「うん。じゃあお互い様ってことで。小池」
「ああ」
それから、俺のまわりはいつも通りに戻った。
ただ、俺だけを置き去りにして。
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