4
桜の木の下で、俺は、また、君のことを思い出した。
君はもうここにはこない。
あの日、俺のせいで、死んでしまった。
俺が…
「もういない」
泣いてなんかいない。
俺は泣く資格すらない。
なのに、君は、あの時、確かに笑っていた。
まるで、俺が無事なのを安心しているかのようだった。
別れ際の笑顔が、頭から離れない。
俺は、
君にどういう風にあやまればいいのか、
考えていた。
どうしたらいいのか、わからなかった。
いつも、君といたこの桜の木の下で、
一人、君を待っていた。
来ないことは知っていた。
なのに、俺は、待っていた。
君に会いたかった。
傍にいてほしかった。
一人になろうとしたのに、
俺は、
一人になった瞬間から、
君が恋しくて仕方なくなった。
最低だ。
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