足は軽やかに、何を目指していたんだろう。

俺が、最後の一歩を踏み出した時のことだった。


「健一っ!」



「え?」


何か、強い力で引っ張られた気がした。


「いっ!」

俺は、どうしてか、線路とは別の方向のホームの壁にぶつけられた。

思いっきり、背中を打ったのにも関わらず、痛みもわからなかった。


何もわからなかった。


ただ。ざわめきだしたホームで、君がぐちょぐちゃになっていることだけが、

今も、脳裏に焼き付いている。



人が電車にはねられた時、音は、どかん、ではないのだと俺はその日、初めて知った。

同時に、自分の浅はかさも、その日、初めて知った。



取り返しのつかないことをしてしまったんだと感じている。

俺は…





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