「羽場くん帰宅部に興味あるの?」


僕は一歩乗り出した。
だって、僕は委員長で、部活をする余裕もつくれないので、天野くんの部活に協力はできない。
だから、こうして、羽場くんが興味を持っているのなら、是非、天野くんに紹介してあげたい。
小さくてもいい。
天野くんのためになりたかった。

でも…


「市原、ちょっと、いい?」

僕と羽場くんの間に入ってきたかと思えば、僕の返事も待たずに、天野くんは僕を引っ張って、教室を出た。

「どうしたの?」

僕はどこか追い詰めたような顔をする天野くんに聞いた。
天野くんは「いや、な」と口ごもる。

「気をつけた方がいいと思ったんだ。余計なことすんなって気持ちはよくわかるよ。市原。でも、羽場はダメだ。あいつ、見境ないから。そう、やめておいた方がいい」

まただ、どうして、そんなにも。
天野くんは必死になるんだろう。

そんなにも、羽場くんが僕と仲良くしていたら嫌なんのかな。

そんなにも、羽場くんのこと好きなのかな?


「僕の勝手でしょ」


心の中はぐるぐるして、そんな言葉しか言えなかった。
僕の心は狭すぎたんだ。

もしも、生まれ変わることがあるのなら、どうか心の広い人間になれますように。





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