「そうなのか?」

「え?」

急に、そうなのか? と声がして、僕と天野くんは相談室の扉の方を向いた。
そこには植木先生が立っていた。

「そうとはしらずに、俺、こんなに早く来てしまったよな。うん。悪い。もうちょい、校内歩いてからくるわ」

さわやかに先生は笑ったけど、天野くんは「待てよ」と一言で先生を止めた。

天野くんって先生に対して完全にため口でひやひやする。


「気持悪い、何を隠し事してんだよ、植木」

「ばれた?」

「ああ」

「実はさ、俺も馬鹿なんだよね。でも、校長は反対してきたんだ」

そう言って、植木先生は部活設立の申請届を見せてくれた。
そこには「帰宅部」って書いてあった。

「え?」

僕も天野くんもフリーズした。
急展開に頭も体もついていかなかったんだと思う。

そうに違いない。


でも、やっぱり、天野くんはただものではなかった。


「いえ、ありがとうございます」

そう言って頭を下げた。
僕も植木先生も、衝撃を隠せずにいた。
なのに、天野くんは続ける。





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