理屈じゃないんだよ
=乃木side=
理屈じゃないんだよ。
君が悪いんだよ。
誰にでも優しくするから。
誰にでも笑顔振りまくから。
だから、俺、こんなにも、淋しいんだ。
君が欲しい。
君が欲しい。
俺だけを見てくれる君が欲しい。
みんなそう思っているはずだ。
この高校に来た、同中のやつら全員、お前を追って着てんだよ。
市原。
お前は何も知らず、時折淋しそうにしていたみたいだけど、
みんないつもお前のこと見てるし、想ってんだよ。
ただ、誰も君に声をかけないのは、お互いがお互いに権勢をかけてんからで。
そう、俺たちはそれでもよかった。
決して自分のものにならなくても、誰かのものにならなければいい。
そう想って過ごしてきたんだ。
市原。
なのに、どうして、天野なんかに惹かれていくの?
俺達、どれだけ、我慢してきたんだろうな。
男同士だし叶わないって。
なのに、なのに、なのに、なのに。
平気なの?
男同士でもいいの?
期待してしまうじゃないか。
市原。
天然なのはいいけど、もっと、危機感もった方がいいよ。
この状況はやばい。
みんな、気づき始めている。
お前が天野に惹かれていってんのは。
このままじゃ、危ない。
絶対に、おそいにかかる奴が出てきてもおかしくない。
だから俺は親友の羽場に協力を頼んだ。
こいつも今日、俺たちのように市原を好きになったみたいだし。
それに今俺が信頼できるのはこいつだけだ。
だから、俺は現状を教えてやった。
その上で、市原を守ろうと、約束した。
羽場はどうしてそんなにも、市原を好きなのか、と聞いてきたが、
俺は理屈じゃないんだよ、と答えておいた。
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