一緒にしないでくれ!
「一緒にしないでくれ!」
ある日、相談室の前を通りかかったら、そんな声がした。
考える間もなく、それは天野くんのものだと僕はわかった。
植木先生も大変だな、と思いながら、相談室を開けようとした時だった。
「委員長」
羽場くんの声がした。
僕は突然どうしたのかと振り返る。
「え?」
顔が近かった。
僕は一歩下がろうとしたけど、相談室のドアに背中が当たり、これ以上、距離を取れないことに気づいた。
「委員長は…」
羽場くんは少し屈んで、僕を見下ろした。
「天野とどういう関係なんだ?」
「はい?」
僕は何を改まって、そんなにも鬼気迫るような顔で聞かれなくてはいけないのか、わからなかった。
だって、だって、そんなこと、どうだっていいでしょ?
「あの、クラスメイトかな?」
僕は少し考えてから返事をした。
どういう関係かと聞かれたら、そうなるんだろうな、と思ったからだ。
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