帰宅部なんて部活はない




「あのな、天野。お前の情熱は痛いほどに伝わったよ。だけど、帰宅部は帰宅部でしかないし、それは何部にも属さないことを言うんだ。な、先生は難しいことを言っているかな?」

う、植木先生。
なぜに、僕を見る。
チワワみたいだ。

どうする、僕。

「僕には、よくわからないんだ。天野くんのいう帰宅部って、何?」

「ほら、どこの部活にも入らないやつが入る部活だ」

「…………」

僕と先生は沈黙に落ちた。
きっと、何が何なのか、わからなくなって、しまったのだと思う。

天野くん、君の言っていることは矛盾しているんじゃないの?

と、僕も先生も口に出せたと思う。だけど、あまりにも、楽しそうに活き活きしている天野くんに、水をさすようなことはできなかった。

そんな時、

「帰宅部なんて部活はない」

と、声がした。





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テーマ「人外ファンタジー」
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