「わり、怒られたか?」

「え?」

「ほら、お前なんだっけ? あっと、な、あれじゃん、クラスの長なんだろ? だから、俺が調子に乗ったばかりに、先生に怒られたのか? 大丈夫か? 俺なんかに笑いかけないでくれっ。俺、まさか、誰かを巻き込んでしまうなんて考えもしなかった。そうか、やっぱ正面から行くわ! こんな女々しいことしたのがいけなかったんだ。クラスの長! 本当に迷惑かけたわ。ごめんな。この通り」

両手を合わせて、彼は頭を下げた。
僕はとっさのことに、ぽかーんと、していた。



「クラスの長! 俺、お前の無実を晴らしてくる!! このたくらみはお前の知らないところで起きていたんだと言ってくる!! いまから、すぐに」

「ちょ、待て待てよ。僕、天野くんの言ってることの百分の一もわかんないよ」

「なななんて、お前はいいやつなんだ! 駄目だ、俺は今からでも職員室に殴りこみに行ってくる!! お前みたいないいやつを怒るだなんて、教師のすることじゃねぇ」

「や、ちゃ、ちょっと、天野くんっ」

「止めても俺は行く!」

引き止めきれず、僕は自分の無力さを感じた。
天野くんは勢いよく、職員室に飛び込んだそうな。

これは、後に有名なお話になって、噂になった。





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