律義なんだか変な奴なんだか
「天野くん。ちょっといいかな?」
「え?」
お昼休みに僕は天野くんに話しかけた。
昨日、先生から預かった入部届を彼の前に差し出しながら。
「あのさ、部活ね、どこにも入らないなら、これ、出さなくていいらしいよ?」
「ああ、そんなことはわかってる」
「そうだよね」
「当たり前だろ?」
「うん」
僕は何だか天野くんに押されて、納得してしまいそうになった。
が、しかし、
「え、でも、帰宅部なら出さなくていいよ」
と、反論してみた。
そうだ。
どんなにお綺麗な顔をしていても、僕は騙されない。
ひいたりしない。
だって、委員長だもの!
「先生が困っていたみたいだよ?」
僕はさりげなく先生と口にした。すると、
「え、マジで!?」
と、天野くんは態度を翻した。
大嫌いだと思った。
みんなそうだ。
僕の言うことには耳を貸さなくても、先生と言われたら、慌てて
反応を示す。
これでもかってくらいに。
「本当だよ?」
僕はなるべく笑顔を崩さないように、答えた。
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