=神崎side=


やばい。

ぐらりとする。

身体の芯から、求めてしまう。

なんか小池が色っぽい。

今まさにって感じ。

何なんだよ。
あの表情。

トイレから出れなくてって…


………………やめ。
そんな変な妄想はやめよう。


「おいしそうだね〜」

小池は両手を合わせて笑う。
運ばれてきたカツ丼は湯気をはなっている。

「神崎、神崎。先に食べてもいい?」

「え、何を?」

「カツ丼だって、ほら出来立て」

どこの子供だ。と言いたくなるくらい、小池は瞳を輝かせて、笑う。

「どうぞ。あ、お母さん。ソーセージ一つ追加して貰ってもいいかな? 出来るだけ、太めで、反り返ってるやつ」

「おおきに」

……いちお、説明しておく。
この店の女将さんは俺のママではない。
若い子にはわからないかも、しれないが、ある一定の年上女性を俺みたいなおじさんは、お母さん、と呼ぶ。
おばさん、はちょっといただけないからだ。

「神崎。ソーセージ好きだね」

「ああ。大好きだよ。太くて、反り返ってないといけないけどね」

「ふーん」

小池はカツ丼のカツを口に運ぶ。
くわえこむ瞬間がたまらなく好きだったりする。

てか、さ、もう、ぶっちゃけると俺は小池が好きだ。

今はまだ大切にしているけど、本当はぐちゃぐちゃになるくらい犯したい。

「はいよ」

そう言って運ばれてきたソーセージを俺は見つめた。

「小池。今日のはあげる」

「は、なんで? 神崎が大好きなソーセージだよ?」

「うん。でも、俺、これを小池に食べてもらいたいんだ」

やっと。やっと出会えたよ。
小池にこう太くて反り返ったソーセージを食べさせる日が。

「だって、今までのは全然だったし。これで、小池にもソーセージのよさを知ってほしい」

嘘だけどね。

だけど、君にくわえてほしいのは事実。
あえて断言しよう!
そのソーセージは男の象徴であると。





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