いつから、こんなことに?




涙を拭いて、顔をあげた。

「笑っとけ」

自分に言い聞かせながら、俺は、回想をやめた。

「なるようにしかならいんだ」


しばらくして、俺は帰る準備をしようかなと考えた。
だけど、まだ、どうしてか此処にいたいと思った。

先輩がいつも座っている椅子に座ってみたりして、もう残っていない温もりを探してみたりした。




「いつから、こんなことに?」

声がした。先輩の声によく似ていた。

「いつから、こんなことになってしまったんだろう」

泣いているように聞こえた。

「遠藤…」

「…え?」

「あ、起きた?」

「え!?」

「おはよう」

「え!? あれ。俺、寝てたの?」

「ああ、ぐっすりと」

先輩は笑っていた。
何もなかったようにいつも通り。

だけど、どこか哀しそうな瞳をしていた。

「……」

何か、言いたげな顔をして、俺を見つめている。
ダメだ。変な気持になるじゃないか。

「どうされたんですか? 固まって?」

「だ、だって、おま、お前、それ、俺の」

「へ?」





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