その日、俺は、ひたすらに泣いた。

ホント、馬鹿になるんじゃないかってくらいに、泣いて。
先輩はずっと俺のことをとなりで支えてくれた。


「俺、先輩のこと好きになるかもよ」

冗談のつもりで言った。
いや、俺は臆病者だった。

先輩がこのことで、距離をおかれたら怖かった。

上辺だけ、受け入れられても、心のどこかで距離をおかれるのはたえられない。

だから、信じてしまう前に、俺の頭をなでてくれる手が、引けばいいと思った。

なのに、先輩ときたら

「大丈夫。わかってる。男なら、誰でもいいわけじゃないでしょ?」

なんて言ってくれた。

「そうだよ…」

誰でもいいわけない。
なのに、なのに…

「わかってる。わかってるから、泣くな。笑っていたら、そのうちいいことあるし」

いいことなんて、ない。
そう思った。
だけど、先輩がそう言うなら、何かいいことがあるのかもしれないな、と感じた。

その日から、先輩は、俺にとって、誰よりも特別な存在になった。





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テーマ「人外ファンタジー」
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