その笑顔が、俺を心配にさせる




次の日。
先輩はいつも通り、笑顔になっていた。
ほっと、一息つくとともに、その笑顔が、俺を心配にさせる。
ずっとずっと先輩のとなりにいたけども、いつかはどこかの女と結婚してしまうんだな、と考えると悲しくてしかたない。

俺は、先輩の幸せを願えない、めんどくさい奴なのかもしれない。

「先輩、機嫌なおったみたいで、よかったですよ」

「え、あ、ありがと」

部室で、二人きっりになれたのに、俺はそんなに嬉しい気分にはなれなかった。
どうしても、先輩のお見合いが気になってしかたない。

「な、なぁ。遠藤は、俺がお見合いするのって、どう思う?」

捨て猫みたいに、先輩は俺を覗きこんで、聞いてきた。

「あ、深い意味はないんだけど、なんとなく気になって」

いつも、どちらかというと、強気で、人を頼ろうとしない先輩が…
くよくよするだけ馬鹿なんだよ、と言っていた先輩が…

すごく弱気でくよくよしていた。

だけど、

「どういう意味ですか?」

俺は優しくしてあげられなかった。
嫉妬していたんだと思う。

お見合いをするかもしれない女に。
先輩に思われている女に。

だから、どうしても、先輩にアドバイスも何もしてあげられる状況ではなかった。

「そんなの自分で考えたらいいじゃないですか? 何で、俺に聞く必要があるんですか? 別に、どっちでもいいじゃないですか? 家を大切にして、親が決めた相手と結婚しようと、駆け落ちして、今の好きな人とろうと、そんなの、先輩の自由でしょ? 俺には関係ないことじゃないですか?」

関係ない。
自分で言ったわりに、自分で傷ついた。

先輩はそんな子どもじみた俺の言葉にただ「そうだったな」と頷いただけだった。





[*前] | [次#]
目次に戻る→


第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -