=丹羽side=


何なんですか?
あれは。

「ま、いいけどね。…な、小池。お昼一緒に行こうぜ。また、美味しい店見つけたんだ」

さりげなく肩にまわされた手。
マジな瞳。
一瞬にして理解しました。

こいつ、部長が好きなんだ。と。

「わかった。じゃあ、12時にまた」

ダメです。
小池部長〜。
あいつは危ないですよ。

とか、言える立場でなければ、

昨日、
俺、

部長を押し倒してしまいましたから。

ここで気安く声をかけるのも気がひけました。

「じゃね」

ぶんぶん、と手を振りながら、宿敵・神崎は去って行きました。

やれやれ……って!?

「むかつくっ」

俺はお茶室に向かいました。

何なんですか?
マジ、なんなんですか?

あんな可愛い顔して。

部長は神崎課長と同期です。
神崎課長は俺が小池部長を好きになる前から、そこにいました。

だからって……
嫌です。部長が俺以外にあんな顔するの。

ガチャン。
少し乱暴に茶葉を入れて、お湯を注ぎました。

……………これ悲惨だ。

自分でいうのもあれですが、俺、あまり器用な部類には入りません。
こんな汚いお茶を出すのはどうかと考えましたが、他に会話するきっかけもないので、俺は痛々しいお茶をおぼんに乗せて、部長のもとへ行きました。

相変わらず、楽しそうです。

俺はもう駄目です。

一人じゃ嫌です。二人がいいです。
いつまでも、ただ想うだけなんて堪えられない。

あなたが好きです。愛してます。大好きです。

昨日みたいなこと……
そこから先に進みたいくらい

どうしようもなく。





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