一人じゃ嫌です。二人がいいです。
=課長side=
「課長って、まだ独身なんですよね?」
お昼休みに入る15分前。
暇になった女子社員が話しかけてきた。
「うん。そうだけど?」
「えー、やっぱり噂は正しかったのか…」
「噂?」
俺は首を傾げた。
「あ、たいしたことじゃないんですけど、どうしても、私、課長が独身なわけがないって、思っていたので」
「何を根拠にしたんだよっ?」
「普段の行動です」
「行動って。俺は観察するものじゃないぞ」
あまり深く観察されたら困るし。
「いいじゃないですか? 私、課長ほど謎な人、はじめてだから、徹底解析したいんですよ! うきうきします」
キラキラ瞳を輝かせる彼女には悪いが、
もしも、仮に、
俺という人間を理解してしまったら、うきうきなんてしまいだろう。
むしろゾッとするはずだ。
だが、若い女の子の気持ちをないがしろにするのもあれだから、
「まぁ…ほどほどにな」
と、笑っといてやる。
ーー要はバレなきゃいいってことだし。
「……え、やった。いいんですか?」
さっきの間はなんだ?
とは聞かず俺は再度頷いた。
「やめろといっても、やるだろ?」
「はい」
なんて清々しい子なんだ。
きっと彼女は立派な大人になるだろう。
なんて。な。
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