=弘樹Side=


天然だ。この人。
孝と一緒だ。
偏見ないの?
何なの?


俺は口をあけたまま呆然としていた。
なんでだろうか。
昔はずべてのものから否定されているんだと感じていた。
俺はいけないことをしているんだと感じていた。

大好きだった君が、男でもいいのだと気づいたとき、俺は強引にも、君を自分のものにしようとした。
わかっていなかったのだ。
君の幸せが何なのか。そう、俺は俺の幸せしか知らなかった。

「決してお前なんかに任せたわけじゃないからな」

「はい?」

何を、と直人先輩は聞きたげにしていたけど、それを言うのは少々しゃくなので、笑ってその場を去った。どうか、お幸せに。

俺は、もう、壊したくないんだ。
大切な人の笑顔を。
自分勝手な気持ちで。

「それだけだから、じゃ。あ、そうだ、そこで、伸びてるのはほっといて帰れよ」

「え?」

何のこと?
そう、困惑している直人先輩がかわいかった。

誰だよ。
変な噂流した奴。

あれ、ただの臆病じゃん。





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