決してお前なんかに任せたわけじゃないからな
=直人side=
浮かれていたんだ。
昨日のキスを思い出しては恥ずかしい気持ちになる。
俺はどうかしていたんだ。
孝の親友に呼び出されて、はいはい、とつられたのがいけなかったのか。
はっきり言って、考えたら、おかしな話だ。
おかしすぎる。
俺に言いたいことがあるなら、別にこうして体育館裏に呼び出さなくてもいいはずだ。
孝を通したっていいはずだ。
だけど、浮かれていたんだ。
幸せすぎて、何も考えていなかったんだ。
まさか、喧嘩の真っ最中に飛び行ってしまうなんて。
「痛かった?」
孝の親友は俺の顔を覗き込んで笑う。
わざとしたに決まっている。
「そんな、怒らないでよ。俺は直人先輩のこと、一度はこうして殴りたかったけど、何も、計画してやったことじゃないし。絡んできたのは、むこうだよ?」
かわいらしい顔をして、さらりと何か言った。
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