欲張ってもいいんだよ
「そんなのダメだよ」
直人はそう言って、ゆっくりと俺から離れた。
「孝は、そうやって俺を甘やかすから」
だから、欲張りになってしまうだろ、と直人は照れた顔をした。
「欲張ってもいいんだよ。てか、俺は全部、を、直人にあげる覚悟できたんだ」
俺は儚く散った12年間皆勤の話をした。
すると、直人は「それは俺のせいじゃない」と笑った。
「でも、心配掛けたのなら、ごめん」
それは悪かったと思う。
直人はそう言って、はにかんだ。
やばい。可愛い。
「ちょ、孝?」
「ちょっとだけ」
俺はそう言って、直人を抱きしめた。
はっきり言って反則だと思う。
そんなに可愛くされると正直困る。
俺は戸惑っている直人の顎をつかむと、持ち上げ、キスをした。
何度も何度もしつこいくらいに。
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