6
君はその先に何を求めているの?
死んでよ。
その一言が、俺の胸に刺さる。
泣いてしまいそうになった。
どうして、ここまで、
君は苦しまなくてはいけないのか。
死んでよ。俺のために。
「嫌だよ。俺は、直人のためには死ねない」
俺は強く強く直人を抱きしめた。
「なんだよ、その程度じゃん」
「違うよ」
「何が、違うって言うんだよ」
傷ついた、君の声が痛い。
「死んだら、終わりじゃん」
俺はそう答えた。
「死んだら、もう、直人のために何も、してあげられない」
俺は君のとなりで生きて、
君を守りたい。
死んでしまったら、
出来ない。
何も、してあげられない。
何度も、何度も、直人に囁いた。
伝わってくれたらと、願った。
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