「放して…、孝」

「どうして?」

俺は聞いた。


「俺、孝に優しくしてもらう権利ない」

直人は答えた。


「権利?」

俺は聞き返した。


しばらく、直人は黙ったままだったけれど、
俺は直人の言葉をただ待った。


「俺、生きている価値さえ、ないもん」


「そんなことないだろ?」

俺は問いかけた。


「孝に、俺の何がわかるんだよ!」

直人は怒鳴った。


「孝は何も知らない。知らないから、そんなことが言えるんだよっ」

「……俺は、直人が好きなんだ、だから」


「だったら」


直人は悲痛な顔をした。



「死んでよ。俺のために」



そんなに好きなら、死んで見せてよ。
そしたら、信じてもいい。

直人は壊れてしまいそうな目で、
俺を見上げた。



孤独な光が揺れていた。





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テーマ「人外ファンタジー」
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