４
＝孝side＝
後は上手くやれよ、と言い残して、
岸和田さんは帰って行った。
俺はおどおどしながらも、玄関が開くのを待った。
勢いよく開かれたドアのむこうには、直人がいた。
俺の名前を戸惑いながら呼ぶ君。
元気そうで、よかったと、思った。
だけど、みるみるうちに、
直人は涙目に、なっていった。
俺は、とっさに、家に、上がりこんだ。
あのまま、あそこに茫然とたっていたのでは、絶対に、扉を閉められると思ったからだ。
「………」
何も言わない直人を、俺はただ抱きしめた。
抵抗しても、ただ、抱きしめた。
逃げないでほしかった。
もう、一人で泣いて、ほしくなかった。
「俺はここにいるから」
直人のとなりにいるから、
だから、だから、
「ここにいるから」
安心してほしい。
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