包み込んで下さい。
=孝side=
直人が学校に来なくなって二日が過ぎた。
岸和田さんも理由は知らないらしい。
「メアドとかは?」
昼休み、俺は岸和田さんに尋ねた。
「いや、直人、ケータイ持ってないんだ」
「は?」
「めずらしいかもだけど、本当に持ってないんだ」
じゃあ、家電は知らないのか、と聞けば、
繋がった試しがないんだよ。
とか、言いながら、岸和田さんはケータイを取り出した。
「うー、やっぱ、かかんないな」
溜息混じりに、岸和田さんは俺を見た。
「午後の授業、さぼろうか?」
「は、何言ってんの?」
「だから、直人の家に行ってみよう」
俺はこうみえても真面目な人間で、ひそかに皆勤賞なんて、ねらっていた。
小学校、中学校、ともに皆勤。
ねらうは12年間皆勤だったりした。
「大丈夫だって、しんどいって、言えば、帰れるからさ、この学校」
岸和田さん。
俺はあんた真面目だけが取り柄な方だと、思っていましたよ?
何、白昼堂々とサバり方をいたいけな一年に、教えたりするんですか?
「あはは」
さようなら、俺の儚い夢。
こんにちは、初めてのおさぼり。
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