3
手慣れてきた感じが嫌になる。
なんで、俺はいつまでも、このまま成長しないんだろう。
あの人の時と同じだ。
こうして、おじさんのを握っていても、何を考えていても、手は奇麗に動く。
綺麗にいいとこを見つけてしまう。
空しくなってきた。
ただ、気持ちよくなって、さっさと、出して、帰ればいい。
生きていくなかで死んでくような錯覚に俺は頭を振った。
孝、ごめん。
俺は、どうしたらいいのか、
わからない。
母さんと俺が生きていくためには必要な裏切りなんだ。
「直人?」
「…ぅ」
涙が流れた。
わけわかんない。
ぼろぼろと流れ、止まらなくなった。
初めてだった。
おじさんとの行為は嫌いだったけども、
ここまで悲しい気持ちになんて
ならなかった。
「ごめんなさ、い」
俺は謝った。
何度も何度も泣きながら。
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