手慣れてきた感じが嫌になる。

なんで、俺はいつまでも、このまま成長しないんだろう。


あの人の時と同じだ。


こうして、おじさんのを握っていても、何を考えていても、手は奇麗に動く。

綺麗にいいとこを見つけてしまう。


空しくなってきた。


ただ、気持ちよくなって、さっさと、出して、帰ればいい。

生きていくなかで死んでくような錯覚に俺は頭を振った。

孝、ごめん。
俺は、どうしたらいいのか、


わからない。


母さんと俺が生きていくためには必要な裏切りなんだ。


「直人?」


「…ぅ」

涙が流れた。
わけわかんない。
ぼろぼろと流れ、止まらなくなった。

初めてだった。

おじさんとの行為は嫌いだったけども、
ここまで悲しい気持ちになんて
ならなかった。


「ごめんなさ、い」


俺は謝った。

何度も何度も泣きながら。





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