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「どうしてそんなに可愛いんですか?」
はい?
「何を、言って。ふざけてないで、帰りなさい」
飲み込まれるな。俺。
こいつはポチタじゃない。
それに40過ぎた親父に20歳の男が言う台詞でもない。
絶対に、裏があるはずだ。
絶対に。
「……帰りませんっ!」
「えっ!?」
すごい力だった。
抵抗する間もなく、俺は椅子に押さえつけられた。
「…な、なに、して、離せ、よ」
「嫌です。照れないでください」
「照れてないし」
そうじゃないだろ?
いきなり、部下に押さえ込まれたら照れるか?
照れないよな?
てか、その真剣な目が怖い。
まるで今ここで、
いや、そんなはずは…
なくはなかった。
「…ふぅ」
乱暴に塞がれた唇。
まさか、職場で、しかも部下に、
そのうえ男に、こんなことをされるとは考えたこともなかった。
「…ぅ……ひぁ!」
何?
今の俺?
「部長。少しキスして、触っただけなのに…」
そういって唇を離した部下は、しつこく俺の股のなかをさすった。
布の上からでも、やばいくらい、
感じた。
「…そんなに、声、殺さなくていいですよ。部長」
「ふざ、け…ぁ!」
「ここはこんなにもっとしてって言っているのに」
嫌だ…飲み込まれてしまう。
「ぁ…やめ」
限界だった。
「ふぁあっあ」
「イっちゃいましたね」
まだ快感が残る身体で、頭で、俺は
濡れてしまったスボンをどうするか、考えた。
「すみません。俺、後先、考えずに…」
「もういい。今日のことはなかったことにするから、お前も」
「嫌です」
忘れません。と部下は言いやがった。
「悪気はなくて作為はあったんです」
真っ直ぐ俺を見つめて…
そんな馬鹿げたことを言いやがった。
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