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「直人は昔、ある男の人と付き合っていたんだ」
「はい?」
衝撃事実だった。
「ホントに?」
「ここで嘘ついてどうするんだよ」
「それはそうだが」
からかっているのかな、と岸和田さんの瞳を覗きこんでみたが、いたって真剣そのものだった。
「まじで?」
「しつこいな、そうだと言ったろ?」
いやいやいや。
まさかまさか…。
「何、一人で首振ってんだよ。一年坊主」
「一年坊主?」
俺は岸和田さんの呼び方に反応した。
「や、悪い。本名はなんだっけ?」
「孝でいいよ」
「じゃ、孝、そこから本題に入ってもいいかな」
「うん」
俺はおずおずと岸和田さんと向き合った。
なんか、大変、大切なお話が待っていると感じたからだ。
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