放課後、俺は直人を見送った後、呼び出しておいた一年坊主に会うために、体育館裏に足を運んだ。

「なんだよ、話って?」

相変わらずの態度に、俺は少し笑った。

「悪い悪い。えっと、ずっと、聞きたかったんだけど、直人のこと本気で好き?」

「本気っていわれるとあれだけど、見ての通りだ」

普通に好きだよ、と一年坊主は俺を見上げた。

「岸和田には、わからないかもしれないけど、俺、本気なんだよ」

「そうだな、俺にはわからない。なんて言っても、俺も本気なんだ」

「え!?」

「……気づいて、なかった?」

俺は予想だにもしなかった、反応に戸惑う。

「ままさか。え? マジで!?」

「うん。そうなんだけど」

「……うわぁ」

何をそこまで驚かれなくてはいけないのかと思った。

「岸和田さん。大変だね」

一年坊主はどうしてか、哀れむかのように、俺を見つめた。

「なんで、いまさら、さん、なんてつけるんだよ。落ち着かない」

「いや、だって、なんか、哀れで」

「何が…」

「大好きな彼は親友です。なんて、淋しいじゃん」

一年坊主は、本当に同情しているかのように、瞳をウルウルさせていた。

「いや、そんなことに同情はいらないんだ」

「じゃあ、どうして、そんな話を俺にしたんだ?」

「実は…」

お前に知っていてほしいことがあるのだと、俺は話し始めた。




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