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=直人side=
孝は、話し方が変わったことを、どうも思わないのかと聞いた。
正直な話、戸惑いもした。
嫌われたのかなって、少し、怖くなった。
だけど、何も変わらないと思う。
「俺、別に、敬語にこだわっているわけでも、ないし。言ってること自体はかわらないじゃないか…。それを、俺がどうこういうことの方がおかしいだろ」
「な、直人? 本当に?」
「なんで? 当たり前だろ?」
「ごめん」
「えっ?」
繋いだ手を引きよせて、孝は俺を抱きしめた。
突然のことに、俺はどうしたらいいのか、わからない。
ただ、抱き寄せられた後輩からはねぎの香りが
漂っていただけだ。
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