お見舞いにねぎを持ってきた後輩
=直人side=
もう、嫌だ。しんどい。
しんどい。
「直人先輩。直人先輩」
お見舞いにねぎを持ってきた後輩が、何故か、そこにいる。
「うるさい…」
俺は寝返りをうつ。
「なんで、来たんだよ…」
そうだ。わざわざ、お前がここにくる理由なんてないはずだ。
「もう…ほっといて、くれ、よ…」
「嫌です!」
「……?」
なんで、どうしてだ、という言葉すら、出てこなかった。
「好きです。俺は確かに直人先輩のことをちゃんと知りません。でも、好きなんです」
「…………」
「信じてくれませんか?」
信じたい。だけど、俺は、信じられない。
傷つくことも、傷つけることも、わかっていて、孝と向き合った。
「だったら、俺のために死んで」
「嫌です」
「どうして? やっぱり、それくらいの気持ちなんだろ? 朝だって、今日の朝だって、見たくせに。なんで、なんで? どうして、孝は、そばにいてくれるの? 馬鹿じゃないの? わかってないわけ?」
「好きです」
「信じられないんだよ…俺は」
やすやす言わないでくれ。
本気にしてしまうだろ。
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