雨に濡れた夜
=孝side=
パズルが完成した。
新しいパズルに取り掛かった。
また、完成した。
次のパスルに取り掛かる。
いつまで、繰り返すのだろう。
いつまで、こんなにも孤独なんだろう。
愛せなかった。
誰も。
みんな、俺を好きだと言ってくれたのに、
こんな俺を好きだと言ってくれたのに、
付き合えば、俺も、変われると思ったのに、
癒されたかっただけ、
その淋しさに、付け込まれただけ。
雨に濡れた夜。
はじめて、君に出会った。
12月24日、午後11時38分。
告られて付き合いはじめた彼女をふった。
虚しくて堪らなかった。
公園デートで学んだことはあまりにも、辛く痛い。
『別れよう』と、俺は言った。
彼女は泣きながら、走って行った。
俺は一人、公園で、雨に打たれていた。すると、
『だったら、死んでみせてよ』
何処からか、物騒な言葉が聞こえてきた。
俺は戸惑いながら、声のするほうへ、向かった。どうしてなのかはわからない。ただ、あまりにも悲痛な声だったからだと思う。
公園の外に声の主はいた。
直人だった。
『そんなに俺のこと好きなら、死んで。俺のために』
直人の前にいる女の子はか細い声で何か言った。聞き取ることはできなかった。
『わからないならいい』
叫ぶように直人は言った。
雨に濡れた夜。
俺は直人に出会ってしまった。
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