10年来の親友している俺も知らない秘密
=岸和田side=
とりあえず、保健室にきた。
泣き止まない直人を公衆にさらすのは、何かとよろしくないと思ったからだ。
「落ち着いた?」
俺は直人の肩をさすりながら聞く。
「……ぇ、ああ。悪い」
もう平気だと直人は笑った。
「………ぁ」
でも、俺は気付いてしまった。
「作り笑いするなよっ!」
「岸和田?」
「辛いなら、笑うなよ」
「……ううん。本当に大丈夫だよ。岸和田。俺、大丈夫」
「そうは見えないんだけど…」
「心配しすぎなんだよ。岸和田は」
こつん。と、直人は俺の頭を突いた。そして、
「ごめん。ありがとう。俺はね、大丈夫だから」
と、笑う。
俺は少し淋しい気持ちになる。
直人がまた遠くなった気がして。
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