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「直人。大丈夫? 今日は一段と顔色悪いけど…」
昼休み。
食堂で向き合い夢見がちロールを食べていると岸和田がそんなことを言ってきた。
「ぇ、そうかな?」
俺はとぼけてみせた。
本当は辛い。
昨日のことなんて忘れてしまいたい。
「うん。やっぱり辛そう」
「辛くないよ。そう、そういえばね、今日はあの後輩ついてきてないよ。岸和田」
話しをそらそうとした。
無意識に、自分自身を、痛め付けながら。
「あの後輩も飽きたかな?」
そう、それでいい。
「な、言った通りだろ? じきに飽きるって」
「直人?」
「……すがすがしくて、いいだろ?」
この風景のなかにお前がいると、いつ消えてしまうのかって不安だった。
だから、いっそのこと、いなくなれば、いいと思った。
だけど違う。
「直人…、どうしたの?」
「ぇ? 何が?」
「泣いてるから…」
「誰が?」
「直人が」
怖くてしかたない。
今度は、いつまで君は消えたままなのか、と。
馬鹿だ。俺…。
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