あの後輩も飽きたかな?
あの後輩も飽きたかな?
その日、家に帰ると、おじさんがいた。
「久しぶりだな」
「……」
「挨拶の返事もできないのか? 直人」
怖い。嫌だ。逃げたい。
いやらしく開いた唇に足がすくんだ。
「しつけ、しないとしけないね?」
そう言って、おじさんは、笑った。
くだらない。くだらない。
実にくだらない。
愛って何?
どうして生きているんだ。
どうして生まれてきたんだ。
わからない。
俺は中一にして、こいつの精液のにおいを覚えた。
母さんの再婚相手である、こいつの。
「直人はいけない子だね」
そういって、また俺の口に欲望を吐き出す。
苦くて、汚くて、涙が流れた。わからないんだ。
みんなどこへいくの?
みんないつか死ぬのに。
希望って何?
わからない。
わからないよ。
「これ、今月分」
そういって差し出された封筒を俺は手にした。
意識は遠退いていた。
だけど、しっかりと握りしめた。
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