てか、アンタといる俺の立場は?
=岸和田side=
夢を見た。
直人に告白してしまう夢。
「はぁ…」
昼休み。いつも通り、俺と直人は食堂へ向かう。
いつも通りだ。
そう、いつも通り、あの一年坊主も後ろからついてきてる。
「はぁ…」
なんでだろうか。
夢見がちロールをほおばる直人を目の前にして、ため息がとまらない。
……何が気に入らないんだろう。
俺は何がそんなにも不満なんだろう。
わからない。
こうして直人とお昼をともにしているというのに…。
『何も知らないくせに』
直人の言葉。冷たい顔。
いつ、どこにいても思い出すんだ。
俺、馬鹿だよな。
何も知らないんだ。俺。
直人。
「直人」
「な、何?」
「え?」
「岸和田?」
「へ?」
「岸和田。今、呼んだろ? 直人って言ったじゃん」
「え、いや、なんでもないんだ」
「そう?」
「うん」
やばいな。
口に出てたんだ。気をつけないと…
じゃないと、言ってしまいそうだ。
本当ノ君ハ、何処ニイルノ?
そんなことを言ってしまいそうだ。
だって、今、ここにいる君は上辺だけなんだろ?
それを知っているだけじゃ、意味ないんだよな?
淋しい。
俺はずっと君の上辺だけの親友だ。
だから、淋しい。
やりきれない。
一年坊主とか、関係なくて、いや、あるんだけど、
最近、思うよ?
直人と、こうしている俺の立場は?
いったい何なんだろう?
直人。
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