自由奔放に見えてしまう直人にも、ちゃんと思いやりとかあるわけだし。

だから、こうして話してくれた。

本当は口にもしたくないだろうに。

普段一緒にいる俺だから。

そう特別じゃない。


「てか、ごめんな。迷惑だよな」

「そんなことない」

「え? あ、ありがとう」

「……っ」

「岸和田?」

「いや、なんでも」

なんでもない。
ただ、何だよと聞きたい。

何なんだよ。

その笑顔。

はじめて見た。

もっと好きになりそうだ。

いや、もう手遅れかもしれない。



その時、俺は自覚した。

好きだって。

叶うはずもないことに、胸が締め付けられた。


俺ハ、君ノコト、チャント、知リマセン。

ダカラ、コノ想イヲ伝エタトコロデ、

『何も知らないくせに』ト、言ワレルコトハ、ワカリキッテイマス。


切ないな。

こんなに近くに直人がいるのに、

こんなにも遠くに感じる。


切ないな。





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