で、後輩にストーカーさせているの?
=岸和田side=
あの忌まわしい一年坊主が『直人先輩〜』など言って、寄ってくることはなくなった。
平穏な日々が戻った。
俺と直人の世界はもう誰にも邪魔されたりはしない。
そう。しない。
はずだったんだがな……
「あのー、直人さん。あのさ、後ろからずっとついてきている奴がいるんだけどさ」
昼休み。食堂へ向かう俺達の後ろにいる一年坊主。
「あのさ……」
直人は無反応だ。
「その、ずっとついてきてるんだけど…」
俺は振り返る。
一年坊主と目が合った。が、すぐに直人のほうへ向き直す。
「な、直人?」
「……ほっとけ、いつか、飽きるからさ」
「飽きるって何に?」
「なんでもない。岸和田には関係ないよ」
「そう?」
「そう。関係ない」
「……いや、でも気になるし。教えてくれないかな?」
「岸和田?」
「嫌なら、いいんだ。無理に聞きたいわけじゃないんだ。うん」
格好悪いな…、俺。
「うーん。いちごミルクと夢見がちロールが食べたいなぁ。よし、岸和田。お昼食べながら話すよ。それ」
「…おごりましょうか?」
「え、いいよ」
「そのなんか、ごめんな」
「なんで岸和田が謝るの?」
「直人、あまり自分のこと聞かれるの好きじゃないのにさ、詮索みたいなことして…」
「え、ああ、大丈夫。岸和田ならいいよ」
「え?」
俺ならいいの?
俺ならいいわけ?
俺だから?
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